検査治具は製品の品質の合否を決めるための道具であり、わずかでも不具合があってはいけません。検査治具はデリケートな道具なので常に丁寧な扱いが求められます。強い力で押したり高所から落とすなど、乱暴な扱いではすぐに破損するので絶対に避けなければいけません。検査治具のトラブルについて原形を留めないほど破損するのは稀であり、ほとんどの場合は計測数値の誤差です。
長く使い続けているうちに留め具の緩みや部品の摩耗などの理由で計測数値に誤差が生じ、検査に悪影響が及びます。誤差は見た目で判別するのが困難であり、正常な検査を受けた合格品と比較してようやく分かるのが大きな問題です。誤差に気づかず製品検査を終わらせてしまい、市場に流通してから大きなトラブルに至ってしまうケースもあります。このような事態を避けるためにも、検査治具の状態は常に良好な状態を保つことが何よりも重要と言えるでしょう。
検査治具の取り扱いについてもっとも重要なポイントは設定された状態を勝手に変更しないことです。掃除や修理などの名目で治具を分解するケースは少なくありませんが、元通りに組み立てたつもりでもわずかな誤差が生じている可能性は否定できません。治具のメンテナンスは製造メーカーなど専門の業者に任せるのが賢明です。掃除については検査の妨げになるほどの汚れでなければ、敢えてそのままの状態で放置するのが正しい対処法になります。
汚れの除去よりも誤差が生じた設定を直す方が遥かに難しいのが理由です。